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知っていますか、ウンチの事――コロナ下で、より良い排便のために①

藤森正彦(ふじもり まさひこ)

[ プロフィール ]
大腸・肛門外科医。
呉市医師会病院 大腸肛門病センター副センター長、大腸・肛門外科部長。
2006年より呉市医師会病院に勤務し、2018より多職種で排便ケアチーム「POOP」を立ち
上げ、地域で排便についての啓蒙を行っている。
1995年徳島大学医学部卒業。
広島大学病院、JA尾道総合病院、因島医師会病院などを経て呉市医師会病院に勤務中。
大腸肛門病学会専門医指導医、臨床肛門病技能指導医。

●スムーズな排便のために

 COVID19(新型コロナウイルス感染症)が広がり、ワクチン接種後も「感染予防」のために外出せずに家に閉じこもる方々も多くなっています。そのような生活様式の変化は、排便にも影響し便秘などの症状が出現します。そういった排便障害はそれだけでQOL(生活の質)を下げることが知られています。このコラムでは、スムーズな排便を目指すための「ウンチの本当の姿」について紹介していきたいと思います。

●ウンチが出来るまで

 ウンチはどのようにできるのでしょうか? 知っている方も多いと思いますが、一度おさらいをしましょう。食べた物はまず「口」の中で咀嚼され、同時に分泌された唾液によりでんぷんが分解され、その後「食道」を通って「胃」に運ばれ胃液によって溶かされます。    
 続いて「十二指腸」では膵液(膵臓で作られ消化酵素が含まれる)と胆汁(肝臓で作られ胆のうに蓄えられている)と混ざり合い、たんぱく質や脂肪が分解され栄養が吸収できる状態になります。なんと消化物と消化液をあわせると1日で約9Lになるのです。
 次の「小腸」は約5~8mあり、表面積はテニスコート1面分(約32㎡)もあり、この広さを利用し約5~8時間かけて約7Lが吸収されます。残りの約2Lが「大腸」で15~20時間かけて吸収され、ようやくウンチが出来るのです。食べてから便が出るまでの時間は大体24~72時間です(幅があり、人それぞれです)。便が出るまでの時間が長いと便は硬くなり、短いと便は軟らかくなります。

●ウンチを出す

 通常であれば、出来たウンチは直腸の手前のS状結腸から口側にたまります。そして1日1~3回の頻度で起こる「大蠕動(食べ物が胃の中に入ると起きる胃結腸反射)」によって、溜まっているウンチは直腸に送られます。便秘の治療において朝食を摂ることが大事とされるのは、この大蠕動が強いのは朝食後だからです。S状結腸より送られてきたウンチが直腸を膨らませはじめて便意が起こり、その後にウンチは肛門近くに到達するのです。だからこそ「お腹が張る」と「便意」は違うものなのです。
 また肛門にはサンプリング機能があり、固形便、液状便またはガスなのかを区別することができます。そして、いきむことで便を押し出します。

●ウンチの中身は?

「ウンチの中身は食べた物のカス」と大雑把に思っている人が多いと思います。少し違います。ウンチは正常な状態で約8割が水分になります。残り2割の3分の1ずつが、食べた物のカス、腸内細菌、腸粘膜(腸の垢)になります。その水分が少ないと硬く、多いと軟便や下痢となります。表面が滑らかでソーセージ様もしくは蛇のようにとぐろを巻くウンチがいいウンチとなります。

●ウンチは、健康のバロメーター

 一生のうち約3年もの間トイレで過ごし、一生で大体5トンのウンチを出すと言われています。ウンチは体からの「大きな便り」と言われ、ウンチの状態が健康のバロメーターになります。そのウンチがちゃんと出せない排便障害を克服するためには、まずはウンチについて知ることが大事と思います。次の機会には、「正しい排便とは」について話したいと思います。

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